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デンマークINNでの暮らし

デンマークINNでの暮らし
深大寺

私のやる気の源

デンマークINN深大寺看護科、千と申します。
私は縁あってホームがオープンした時に入職し、現在までお世話になっております。
ホームは、入居者様の“家”ですので、病院での看護とは少し違うかかわりもあると思います。それが、私が仕事を続けてこられた理由でもあるので、紹介させていただきます。
K様、女性。ある日、居室に呼ばれました。
「私は病院へはもう入りたくないの。それでお願いがあるんだけど・・・」と。
最期はどうか宜しく、そして、この着物を掛けて欲しいとふろしきに包んだ着物を見せてくれました。私は、必ずご希望のとおりさせていただくことを約束しました。K様に限らず“最後までここでお世話になるから、その時はお願い”と真剣におっしゃる方もあり、未熟な私ですがその思いを正面から受け止められる看護師でいたいと考えています。K様は着物がお好きなので、夏祭りにゆかたを着ませんかと提案しましたら、とても喜ばれました。ゆかた姿で一緒に粋な写真を撮る予定です。

ホームで楽しい時を過ごし、思い出を皆で共有すると、日々の会話にも彩りが生まれると思っています。
S様、男性。脳梗塞、右麻痺、糖尿病の方ですが、左手で食事もされ、リハビリも行っています。食事のレクリエーションも参加されます。「おいしいステーキが食べたいよ」と話されていました。先日、歯の調子が悪くなってしまいました。高齢の方の場合、どこまで根本的に治療するか頭を悩ませることもあるのですが、S様は「とにかく今後もしっかり食べられるように治療したい」と希望されました。悪い歯を抜いて義歯を作ったほうが治療回数は少ないのですが、根の治療をする方を選択され、受診を続けています。私はS様と歯科の治療が終わったら、必ず“おいしいステーキ”を食べに行こうと話をしています。そのためにはお互い元気でいなければ・・・と励まし合っています。目標があるとリハビリもやる気が出ますし、お菓子を食べすぎないようにと話すこともできます。

今、ここデンマークINN深大寺で、時間を共有しその方が何を望んでいらっしゃるかを考え、少しでも皆様に笑顔になっていただけたら、こんなに嬉しい瞬間はありません。ささやかなことかもしれませんが、私のやる気の源です。